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ショートレビュー「五日物語 ー3つの王国と3人の女ー・・・・・評価額1650円」
2016年12月02日 (金) | 編集 |
美しく残酷な、御伽話の真の姿。

夢のある異世界ファンタジーっぽいキービジュアルだが、騙されてはいけない。
これは「ゴモラ」「リアリティー」で知られる、異才マッテオ・ガローネ監督による大怪作であり、御伽話に浸るのではなく、御伽話の夢から覚める物語なのである。
ストーリーの元になっているのは、17世紀のイタリアで書かれた民話集、「ペンタメローネ(五日物語)」だ。
この民話集は、50話のエピソードと全体の枠となるエピソードの全51話から構成されているのだが、本作では三つの物語が一つの世界観の中で平行に語られている。
舞台となるのはロングトレリス国、ストロングクリフ国、ハイヒルズ国、三つの王国の三つの王宮。
それぞれの物語で主人公となる3人の女の、女性ならではの欲望が悲劇を生む。
※核心部分に触れています。

ロングトレリス国では、「母になりたい」という王妃の願いが、魔力を持つ海の怪物の心臓を食すことでかなえられる。
怪物との戦いで命を落とした王に代わって、彼女は最愛の王子を手にいれるのである。
だが母性の力を過信し厳しく束縛する王妃から、いつしか我が子の心は離れてしまう。
王宮から消えた王子を取り戻すために、彼女は大き過ぎる代償を支払うことになるのだ。

絶倫王が支配するストロングクリフ国では、王宮の隣のあばら家に住むアニメ声の老婆姉妹が、国王に若い娘と勘違いされる。
魔法によって若く美しい肉体を手に入れた姉は、王の寝室に招き入れられ王妃の地位を与えられるが、取り残された妹の嫉妬と欲望は、自らの肉体と精神を傷つけ、破滅させてゆく。

三つ目の物語は、大人の世界にあこがれ、理想の夫との結婚を望む王女の物語だ。
娘の結婚に乗り気でないハイヒルズ国の王は、結婚を望む男たちを競わせるあるアイディアを思いつくのだが、結果的にこの策略の失敗によって、王女は断崖の洞窟に住むオーガ(鬼)と結婚させられてしまうのである。
恐らくは「美女と野獣」と同根と思われるこのエピソードだが、オーガの正体が心優しい王子だったりはしないし、彼女を救出しようとする親切な人々はあっさりと返り討ちにあう。
父親の失策によって身を売られ幽閉された王女は、遂に自らの決意と行動でのみ、運命から解放されることを悟るのである

「アナと雪の女王」の大ヒット以来、「マレフィセント」や昨年の実写版「シンデレラ」など、ディズニーによって御伽話のプリンセスの“モダナイズ”が進められているが、本作はその流れを民話の故郷であるヨーロッパで、よりダークに突き詰めたものと言える。
三つの物語のうち、ロングトレリス国、ストロングクリフ国のエピソードは、どちらの主人公も魔法的な力で欲望を叶えるが、所詮それは偽りの幸せであり、魔力はいつかその効力を失う。
しかし、ハイヒルズ国の王女にだけは、何の魔法も奇跡も起こらない。
恋に恋するティーンエイジャーだった彼女は、残酷な現実に覚悟を決めて抗い、脱出に成功する。
だから映画のラストで、帰還を果たしたハイヒルズの王女の戴冠式には、三つの国の登場人物が勢ぞろいするも、そこにロングトレリスの王妃の姿は無く、ストロングクリフの王妃は華やかな宴から出て行かざるを得ない。
なぜならそこは、もうすでに幻想の御伽話の世界では無いからだ。

また元が民話ゆえか、現在のファンタジーに比べると本作のプロットは相当に歪。
だが、この作品の場合それが奇妙な味わいに繋がっている。
なぜかノミちゃんを愛してしまうハイヒルズの王とか、ゲーテの「ファウスト」でメフィストフェレスが唄う「蚤の唄」っぽいが、たぶんこれも同根なのだろう。
イタリアに現存する三つの城のロケーションと、ゴージャスな美術、衣装はそれだけでも見応えはあり。
一言で言えば、ジム・ヘンソンの「ストーリー・テラー」のダークな親戚という感じで、この種の怪異譚好きにはたまらない。
しかしトラウマ描写満載で、間違っても子供向けではないので、家族で鑑賞とかしちゃうと悲劇だ。

今回は、イタリア産のスプマンテ「ロヴェ・スプマンテ・ロゼ エクストラ ドライ」をチョイス。
やや辛口で、スッキリ爽やかな後味。
澄んだピンクも目に鮮やかで、華やかな気分を演出してくれる。
スプマンテは、シャンパーニュなどと比べると圧倒的にCPが高いのも嬉しい。

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五日物語−3つの王国と3人の女@ヤクルトホール
2016/12/03(土) 11:14:16 | あーうぃ だにぇっと
ロングトレリス国では、跡継ぎが生まれないことに悩んだ国王と王妃が、魔法使いの教えに従うことに。 ハイヒルズ国では、結婚を夢見る王女のために、父親である王が婿選びをすることに。 ストロングクリフ国では、国王に歌声を見初められた老女が、若さと美貌を熱望する。 3つの王国の3人の女の願いは叶えられるのだが…。 ダーク・ファンタジー。  PG-12
2016/12/05(月) 12:46:43 | 象のロケット
 『五日物語―3つの王国と3人の女―』をTOHOシネマズ六本木ヒルズで見ました。 (1)予告編で見て面白いと思い、映画館に行きました。  本作(注1)の冒頭では、ロングトレリス国の城(注2)の外に、様々な芸人たちが集まっています。  城の中にカメラが入っていくと、王...
2016/12/06(火) 18:13:31 | 映画的・絵画的・音楽的
タイトルに「3つ」「3人」とつくだけあって、オムニバス3話。 だいたいオムニバスな映画って、そんなに面白くはならない(笑) よほどそれぞれのエピソードにパンチがあるか、最後に一気に統合し驚かせる展開があるか。 だがそれは置いておいて、今作には次の2点で観るべき価値があるかも。 まず冒頭のエピソードで登場は、セルマ・ハエックそしてジョン・C・ライリー。 そしてヴァ...
2016/12/09(金) 19:22:48 | 日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
 17世紀にイタリアのジャンバティスタ・バジーレが書いた欧米最古の民話集「ペンタメローネ 五日物語」を元に、イタリアの鬼才・マッテオ・ガローネ監督が独特の映像美で魅せてくれました。  作品情報 2015年イタリア、フランス映画 監督:マッテオ・ガローネ 出演…
2016/12/12(月) 06:56:28 | 映画好きパパの鑑賞日記
名作童話の原形となったヨーロッパ初の本格的な民話集『ペンタメローネ』を映像化した作品です。 予告編を観て、美しい色彩に彩られた映像と妖しい雰囲気に惹かれて気になっていました。 古い民話らしい毒々しさに圧倒されながら、不思議に満ちた時間を過ごしていました。
2016/12/18(日) 20:24:44 | とりあえず、コメントです
「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督が17世紀初頭に書かれた世界最初のおとぎ話『ペンタメローネ 五日物語』を映画化した大人のファンタジー・ドラマ。3つの王国を舞台に、自らの欲望に絡め取られた女たちが辿る恐ろしくも奇想天外な物語の顛末を、幻想的な映像美で描き...
2016/12/19(月) 18:42:34 | パピとママ映画のblog